監査法人の役割
監査法人は、有価証券上場規程に基づき提出される財務諸表等について監査意見を表明するとともに、申請会社の会計面及び内部管理体制などの指導を行うことが期待されています。 海南監査法人では、上場準備会社の実態、特徴を理解し、上場審査までに達成しておくべき課題を共有し、IPOまでの進捗に応じて柔軟に課題を見直し、スケジュールを共有するとともに、「資本市場の番人」として、上場準備会社が健全な資本市場の運営に資するよう適切な指導を行ってまいります。 上場申請に当たっては過去2事業年度分の決算書について監査証明が必要となり、監査証明に際しては期首の貸借対照表についても監査が必要であるため、上場を希望する時期より概ね3年程度前から監査法人が関与する必要があります。 海南監査法人では、下記に記載するような調査や体制の構築を支援します。
予備調査(ショートレビュー)
予備調査は、上場準備会社がIPOするに当たって問題となる事項や課題を洗い出し、その改善策とスケジュールを提案・報告するものです。予備調査を受けることにより、上場までの課題を把握でき、それ以降の上場準備作業を棚卸でき、効率的に取り組むことが可能となります。
経営管理体制の構築
コーポレート・ガバナンスとは、企業統治の仕組みをいいます。 東証のコーポレート・ガバナンス・コードにおいては、もう少し広い意味で定義がなされ、「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する。」とされています。 IPO準備においては、上場会社としてふさわしいコーポレート・ガバナンスを確保する観点から、一定の機関設計の採用が必要となります。 株主総会、取締役会、監査役会等の構成を含めた会社の組織体制、諸規程、各種マニュアル、内部監査制度の整備及び運用が求められるほか、コンプライアンスの対応状況や不要な関係会社の整理等についても求められます。
利益管理体制の構築
上場会社は投資家に対して利益を還元する責任や社会的責任を果せるかどうかを投資家保護の観点から厳しく問われ、上場審査においても利益管理制度の整備は最も重視される項目の一つです。 このため、全社(企業グループ全体)の収益力及び成長性がわかるように販売予算、原価予算、一般管理費予算、人員計画及び設備投資計画を作成し、各予算を統合・調整して、売上から利益まで予算を作成する必要があります。 中長期計画の作成にあたっては、中長期経営方針を明示し今後の成長計画を織り込みつつ外部環境や内部環境の変化の分析を行い、全社の合理的な事業計画を策定することが必要となり、各部門予算を適切に集計するための策定手続を明確化する必要があります。 上場審査では中長期計画の作成プロセスも審査されますので、予算管理規程を整備し、予算の策定・編成の手続を文書化する必要があります。
会計管理制度の構築
上場会社は会社法に加えて金融商品取引法適用会社となり、会社内容の開示等が義務付けられます。また、東証の規定や要請により会社の決算の状況だけでなく投資家にとって重要な会社内容や情報を正確かつ迅速に開示しなければなりません。
販売や購買、在庫管理といった重要な業務プロセスについては、適切なコントロール(内部統制)の整備運用が求められます。また、決算業務を行う経理体制、資金管理、人事労務管理、決算書の作成に関連する情報システムについても適切に整備運用されていることが必要となります。
内部管理体制の構築
会社財産の保全や適法かつ効率的な業務運営に必要な内部牽制機能の枠組みの基礎は、社内規程の整備とその適切な運用にあります。
したがって、社内規程が会社の規模や業種・業態に応じて適切に整備され、当該社内規程に沿った実務が行われていることが必要です。
上場審査の過程では、その社内規程の整備が適正に行われていることと、実際に有効に運用されていることがチェックされます。規程の準備には多くの時間と労力を要するので早急に準備に入り、必要な規程類を洗い出して規程を作成する必要があります。
関連当事者等との取引
上場審査では、会社が「関連当事者その他特定の者との間で、原則として、取引行為その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないと認められること。」を審査するために主に下記①、②の観点から審査されます。
①新規上場申請者の企業(グループ)とその関連当事者その他特定の者との間に取引が発生している場合において、当該取引が取引を継続する合理性(事業上の必要性)及び取引価格を含めた取引条件が新規上場申請者の企業(グループ)に明らかに不利な条件でないこと。
②新規上場申請者の企業グループの関連当事者その他特定の者が自己の利益を優先することにより、新規上場申請者の企業(グループ)の利益が不当に損なわれる状況にないこと。
上場準備において、このような取引がある場合には、特別利害関係者等との取引を解消するか、継続するとした場合でも取引条件の妥当性の見直し等、特別利害関係者等との取引の整備が必要になります。
会計処理に関する事項
上場会社においては、一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP)に準拠した会計処理が求められるため、現状採用している会計処理の方法と一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP)に基づいた会計処理との比較検討を行い、必要な修正を指導します。